近年の銀行では「BaaS」という仕組みがあり、これは銀行代理業者となった提携他社が銀行のシステムに接続出来るようにするものです。これによって様々なサービスが追加された特殊な口座が提供可能となり、一般消費者にとっても大きなメリットが生まれていますね。
BaaSの仕組みは楽天銀行も展開しており、今後は様々な支店がリリースされることに期待が持たれています。楽天銀行の支店だけあってどれもポイントサービスが強いものばかりなので、気になるものはしっかりチェックしておきたいですね。
今回は、楽天銀行の提携支店について考察していきましょう。
はじめに
楽天銀行の提携支店で提供されているサービスについて、基本的な部分のほとんどは通常の支店と同様の条件で提供されています。預金金利や各種手数料体系が同じであることは勿論として、楽天証券との連携機能「マネーブリッジ」のような特殊なサービスにも対応していますよ。
楽天銀行口座は提携支店も含めて0歳から開設可能ですが、12歳未満の方が開設するためには親権者側の本人確認書類が必要になります。この際に親権者の同意も必要条件となっているので、もしお子様用に口座を開設したい場合は覚えておきましょう。
また、楽天銀行では基本的に1人1口座のみ開設出来ますが、提携支店についてはサービス毎に1口座ずつ別途開設することが可能です。もし複数の提携支店で気になるサービスが提供されているのであれば、全ての提携支店で口座開設することを検討しても良いですね。
以下の表は楽天銀行の基本的な提供条件ですが、
ここで一度確認しておきましょう。
サービス概要 | 摘要 | |
---|---|---|
銀行コード | 0036 | |
ATM入出金手数料 | 無料 | ステージ毎の無料回数分 |
1回3万円以上の入金分 | ||
200円+税 | セブン銀行、イオン銀行、PatSat | |
250円+税 | 上記以外のATM | |
振込手数料 | 無料 | 楽天銀行口座間 |
132円+税 | 無料回数サービス有り | |
定額自動入金 | – | |
Pay-easy | 対応 | 一部利用不可の収納先あり |
普通預金金利 | 0.1% | |
0.12% | 楽天カードからの引落があった場合 | |
マネーブリッジ(300万円超過分) | ||
0.18% | マネーブリッジ(300万円まで) | |
定期預金金利 | 0.105%~0.25% |
楽天銀行では同行間の振込手数料が無料となっているので、既に楽天銀行口座をお持ちの方であれば残高の管理が手軽に出来るようになります。基本的には通常支店の普通預金に資産を集めておき、必要に応じて提携支店に振り分けるような使い方もおススメですよ。
楽天銀行では「ハッピープログラム」というユーザーランク制度が用意されていますが、提携支店ではこちらについても同様のサービスが提供されています。判定は前月25日終了時点の残高又は前月の取引回数に応じて行われ、適用されたランクに応じてポイント還元率や手数料無料回数が上昇するのでかなり重要ですね。
ハッピープログラムの提供条件
ベーシック | アドバンスト | プレミアム | VIP | スーパーVIP | |
残高条件 | – | 10万円以上 | 50万円以上 | 100万円以上 | 300万円以上 |
取引回数条件 | – | 5件以上 | 10件以上 | 20件以上 | 30件以上 |
ATM無料特典 | – | 1回 | 2回 | 5回 | 7回 |
他行振込無料特典 | – | 1回 | 2回 | 3回 | 3回 |
ポイント特典倍率 | 1倍 | 1倍 | 2倍 | 3倍 | 3倍 |
振込手数料無料回数やポイント倍率を求める場合、
25日の残高100万円以上でVIPランクを狙えば十分ですね。
ハッピープログラムではポイント還元サービスも提供されていますが、こちらについては支店毎に提供条件が異なります。付与されるポイントの他に付与条件等も変化しているので、必ず確認してから利用するようにしてくださいね。
楽天銀行ではキャンペーンも定期的に開催されていますが、提携支店毎でキャンペーンの開催状況は異なるようです。中には支店独自のキャンペーンを開催していることもあるので、それぞれの口座のキャンペーンページは定期的にチェックしてみましょう。
一部の口座では通常支店と同様のキャンペーンが開催されることもありますが、エントリーはそれぞれの口座で個別に行う必要があります。また、それらの中で不定期開催されているものやユーザー指定で開催されているものについては、複数の支店で条件を満たしても1つの支店のみ特典対象となることがあるので覚えておきましょう。
複数の支店口座で気になるキャンペーンを見つけた場合、
必ず参加条件をしっかりチェックしてくださいね。
また、通常の支店で16歳以上の方が発行可能となる「楽天銀行デビットカード」については、楽天銀行の提携支店でも同様の機能を持つカードが提供されています。こちらは支店によって還元サービスが異なることがある他、発行可能な国際ブランド限定されているので覚えておきましょう。
第一生命支店
第一生命支店(321)は第一生命保険との提携支店であり、開設及び利用にはスマホの専用口座アプリが必要です。ちなみに、こちらの口座は申込の際に2種類の本人確認書類が必要となるので、国民健康保険証の廃止後は人によって申込みの難易度が上がるかもしれません。
こちらは第一生命保険の「資産形成プラス」というサービスに関連した支店であり、将来の資産形成に役立つ様々な情報を得ることが出来ます。第一生命支店の開設には資産形成サービス会員のIDが必要ですが、こちらは開設と同時に登録することが可能ですよ。
既に住信SBIネット銀行の「第一生命NEOBANK」を開設している場合、
そちらで登録したIDを使って申込みすることも可能ですよ。
第一生命支店のサービスは通常支店とかなり似通った部分が多く、ハッピープログラム等の還元対象も楽天ポイントのまま変わっていません。ポイントサービスを受けるためにはプログラムのエントリーが必要ですが、この際に楽天会員情報とのリンク登録を行うのでそちらも用意しておきましょう。
第一生命支店でも楽天銀行デビットカードの発行が可能ですが、こちらは還元対象も含めて通常支店のそれとほぼ同じものが提供されています。発行可能な国際ブランドはJCBに限定されていますが、事実上2枚目の楽天銀行デビットカードが発行出来るのでかなり重宝しますよ。
通常支店のデビットカードをVISA又はMastercardで発行しておけば、
加盟店に応じた使い分けが出来るのでおススメです。
また、第一生命支店ではキャンペーンについても通常支店と同じものが一部開催されています。例えば、他行からの入金等で現金が貰える「現金プレゼントプログラム」は通常支店と個別に参加出来るので、よりお得な銀行取引がしたい方にはかなりおススメの口座と言えますね。
JRE BANK
JRE BANKはJR東日本傘下のビューカードとの提携支店であり、開設及び利用には公式サイトや専用口座アプリが必要です。こちらでは鉄道車両の名称に因む複数の口座支店が用意されており、開設した際はそれらの何れかに振り分けられることになります。
JRE BANKで扱われている支店の一覧(2024年11月現在)
- JREはやぶさ支店(341)
- JREとき支店(342)
- JREこまち支店(343)
- JREつばさ支店(344)
- JREあさま支店(345)
- JREやまびこ支店(346)
- JREあずさ支店(347)
- JREひたち支店(348)
- JRE踊り子支店(349)
- JREわかしお支店(351)
「JRE BANK支店」という名称の口座支店が存在するわけではありません。
また、1人で開設可能な口座は上記の中で1つのみです。
JRE BANKはSuicaやビューカードで使われている「JRE POINT」と連携しており、JRE POINT会員情報との「リンク登録」を行うことで様々な特典が適用されます。JRE BANKでは「JRE BANKプラス」というユーザーランク制度が用意されていますが、これはほぼハッピープログラムと同じものと考えて大丈夫です。
JRE BANKプラスとハッピープログラムを比較すると、各種手数料無料回数やポイント倍率は同じ条件で適用されます。ただし、ポイントの付与条件については細かい部分で異なっているので、サービスを利用する場合は覚えておきましょう。
JRE BANKプラスとハッピープログラムの相違点
- ATM取引の獲得条件はJR東日本各駅の「VIEW ALTTE」による引出しに限定
- ビューカードの料金引落しで現在のランクに関わらず10ポイント
- 楽天カードの料金引落しに関する特殊条件は無し
- 楽天銀行法人口座からの振込・楽天証券関連・楽天ウォレット・楽天Edyの特典は無し
もしビックカメラSuicaカード等のビューカードを利用している方であれば、JRE BANKを料金の引落し口座に設定しておけばかなりお得ですね。ただし、それ以外の部分については縮小している部分も多いので、通常の支店と使い分けをすると良いかもしれません。
JRE BANK特典
また、JRE BANKでは上記以外にも様々な特典が用意されており、そちらを目当てに口座を開設しても良いかもしれません。JR東日本のサービスを利用している方であればかなり魅力的な特典なので、こちらも積極的に狙ってみましょう。
JRE BANKで適用される特典については、
基本的にJRE POINTリンク登録が参加条件となっています。
JRE BANKの特典(JR東日本の鉄道)
- 8月(2025年度からは6月)・12月の25日終了時点で残高が50万円以上ある場合、ビューカードの引落しがあればJR東日本の片道料金4割引券を1枚、給与の受取りがあれば2枚プレゼント。残高が300万円以上だった場合は更にそれぞれ+1枚(年間最大10枚)
- 8月(2025年以降は6月)・10月(2025年以降は9月)・12月・3月の25日終了時点で残高が50万円以上ある場合、ビューカードの引落しがあれば「どこかにビューーン!」2,000ポイント割引クーポンを1枚、給与の受取りがあれば2枚プレゼント(年間最大12枚)
- 8月(2025年以降は6月)・10月(2025年以降は9月)・12月・3月の25日終了時点で残高が50万円以上ある場合、モバイルSuicaグリーン券を1枚プレゼント(年間最大4枚)
- 誕生月の3か月前の25日終了時点で残高が50万円以上ある場合、専用ページからJR東日本ホテルズの対象レストランでバースデーコースを予約するとバースデー特典プレゼント
- 3月・9月の25日終了時点で残高が50万円以上ある場合、JRバス マロニエ新宿号/東京号の片道料金無料クーポンプレゼント(年間最大2回)
また、特典には一部クレジットカードの引落し方法にJRE BANKを設定するとポイントが付与されるタイプも用意されています。こちらの特典は年齢制限が設定されたものばかりですが、条件に合致する方は活用してみましょう。
基本的には年会費分がポイントとして還元される特典なので、
クレジットカードの初心者向けサービスと考えておきましょう。
JRE BANK特典(カード特典)
- ルミネカード:23歳までに契約且つ年会費の支払い時点で24歳以下だった場合、年間合計5,240円(年会費含む)の引落しがあればJRE POINTで1,048ポイントプレゼント
- JRE CARD:23歳までに契約且つ年会費の支払い時点で24歳以下だった場合、東北のエスパルで年間合計5,000円以上利用するとJRE POINTで524ポイントプレゼント
JRE BANKデビット
デビットカードはJRE BANKでも提供されており、JCBブランド固定で「JRE BANKデビットカード」として発行されます。基本的なカードの機能はそのままですが、還元対象は楽天ポイントからJRE POINTへ変更されているようです。
ただし、ポイント還元率については大幅に縮小されており、決済金額500円につき1ポイント(0.2%)とかなり控えめに設定されています。20歳未満の方であれば200円につき1ポイント(0.5%)と多少はましになっていますが、この還元率だけでカードを活かすのは少々難しいかもしれませんね。
JRE POINT自体の利用価値を考えたところで、
それならビックカメラSuicaカードを利用した方が良さそうです。
ですが、JRE BANKデビットにはいくつかの優待サービスが用意されており、JR東日本の関連サービスで使えばお得な1枚へと変化します。もしこちらのカードの活用法を考えるのであれば、ポイント還元より優待サービスに焦点を絞ってみましょう。
JRE BANKデビットの優待サービス
- JR東日本ホテルズの対象施設で宿泊料金の支払いに利用すると20%割引又は優待料金適用
- JR東日本ホテルズ直営のレストランやバーで利用すると10%割引
- JR東日本レンタリースでレンタカー利用料金の支払いに利用すると20%割引
まとめ
楽天銀行はポイント還元によるお得さが魅力のネット銀行ですが、それはBaaSの仕組みによる他社提携支店でも同様のことが言えます。発行可能なデビットカードも支店それぞれの魅力を持っているので、通常の支店と組み合わせて効果的に活用して行きたいところですね。
2024年9月現在の主な提携支店は第一生命支店とJRE BANKの2種のみですが、今後の更なる拡大に期待出来ます。楽天銀行であれば例えポイントが無い企業との提携でもお得になりそうなので、これからの情報もしっかりチェックしましょう。
もし楽天銀行の提携支店に興味がある方であれば、まずはそれぞれの公式サイトにアクセスしてくださいね。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
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