日本国内の公共交通機関では、IC型電子マネーによるキャッシュレス決済が広く用いられていますよね。近年では相互利用も当たり前になり、様々な場面での決済に使えて便利ですよね。
その中で、東京都内の交通機関を中心に導入されているサービスがPASMOです。PASMOは関東圏のバス事業者にも広く普及しているので、利用したことのある方は多いかもしれませんね。
今回は、PASMOについて考察していきましょう。
目次
サービス概要
PASMOとは、株式会社PASMOが提供するIC型電子マネーのことです。事前にチャージした残高を利用して、公共交通機関又は加盟店での支払いが可能となっています。
PASMOは東京都の複雑な交通事情を理由として、
サービスの共通化や利便性のために誕生しました。
PASMOを利用するにはPASMOカードの発行を行う他、おサイフケータイ対応のスマホから使うことも可能です。カードは券売機や各事業所で発行可能な他、一部クレジットカードにも付帯されていますね。
まずは、PASMOの基本的なサービス概要を見ていきましょう。
サービス概要 | 摘要 | |
---|---|---|
提供会社 | 株式会社PASMO | |
デポジット | 500円 | 払戻し時に返還される |
年会費 | 無料 | |
残高上限 | 2万円 | |
残高有効期限 | 残高の変動から10年間 | |
チャージ方法 | チャージ機や券売機等 | |
バスの精算機 | 運転手に申出る | |
コンビニ店頭 | ||
ブランドカード | モバイルPASMO | |
オートチャージ有 | ||
還元率 | 事業者による | |
還元方法 | 鉄道事業者毎のポイント | |
補償 | 紛失時再発行手続 | 残高の引継ぎ有 |
優待 | – |
PASMOカードを既に利用している場合は、残高を引継いでそのままモバイルPASMOに移行することが可能です。対応しているのは記名PASMOとPASMO定期券なので、もしこれらをお持ちであればご検討ください。
移行時点ではデポジットが返還されないため、
残ったカードは別途払戻し申請を行いましょう。
PASMOを使わなくなった場合は、所定の払戻し申請を行いましょう。PASMOの払戻しには200円+税の手数料が発生するので、手続きの際は可能な限り残高を使い切ってくださいね。
ブランドカードによるチャージ
モバイル版のPASMOではブランドカードを用いたチャージが可能となっており、3Dセキュア対応のVISA・Mastercard・JCB・American Express・Diners Clubの5ブランドが対応しています。オートチャージを設定することも可能ですが、そちらはサービスに対応する一部クレジットカードが必要です。
ブランドカードによるチャージはPASMOカードも対応していますが、方法としては指定クレジットカードによるオートチャージに限られています。対応カードはモバイル版と同様なので、必要であればそちらの契約も検討してみてくださいね。
チャージ用カードとしては海外発行カードが使えない他、
決済事業者によってはPASMOを拒否しているので注意しましょう。
また、モバイル版のPASMOはApple PayやGoogle Payからでもチャージ可能であり、そちらであればチャージに使えるカードの範囲が広がります。PASMOアプリではチャージに対応していないカードも一部あるのですが、こちらを経由すれば3Dセキュア非対応カードでもチャージ出来る可能性がありますよ。
小児用PASMO
小児用PASMOとは、小学生の方限定で発行可能なPASMOのことです。発行は必ず対面で行い、所定の証明書を必要とします。
小児用PASMOを利用して公共交通機関を利用すると、子供料金が自動で適用されます。お子様がバス等をよく利用される場合は、こちらの発行をご検討ください。
期限は12歳になって3月31日を迎えた時ですが、
それ以降も大人用への切替でそのまま使えますよ。
PASMO定期券
PASMOは定期券も利用可能であり、購入した区間内であれば定額で利用可能です。通勤通学に利用する場合や、仕事等で同じ場所を何度も往復する場合にはお得に使えますね。
PASMO定期券は個別に発行可能な他、PASMOカードを既に持っていればそのまま定期券にすることも可能です。発行は券売機や窓口で行いますが、窓口では所定の手続きを行います。
定期券はモバイルPASMOからも利用可能であり、
スマホで申請が完結するので使いやすいですね。
また、PASMOの定期券は1枚で鉄道とバスの分を1つずつ、2つの定期券を同時に発行可能です。乗り換えが必要な方にとっては、非常に便利な機能ですね。
バス得
バス利用特典サービス(バス得)とは、特定事業者のバスをPASMOで利用した際にもらえる電子チケットサービスのことです。バス得でバスチケットを取得すると次回の乗車時に自動で適用され、10円単位で支払いに充てられます。
バス得はPASMOを用いて運賃を支払った際、その月間合計額(定期券や乗車チケット等の利用分を除く)が一定値に達する度に適用されます。特典の内容は適用された時の金額区分によって変わりますが、概ね利用金額に対して10%以上も割引されるので非常にお得ですね。
現在のバス得対応事業者はかなり減少していますが、
生活圏内のバスが対応していれば活用しましょう。
バス得の詳しい提供内容については、利用するバス事業者のホームページを確認してください。サービス内容は変更されることがあるので、普段利用している方も時々チェックしましょう。
PASMOで貯まるポイントについて
PASMOでは単体としてポイントを貯めることが出来ませんが、利用する交通機関や店舗によってはポイントサービスが用意されていることもあります。もし該当の区間でよくPASMOを利用している方であれば、それぞれのサービスにPASMOを登録してみましょう。
登録したPASMOの利用でポイントが貯まるポイントの例
- 小田急ポイント(小田急おでかけポイント):小田急線
- 京王ポイント(京王PAS×PASポイントサービス):京王線及び井の頭線(条件あり)、駅内のポイント加盟店
- 京急プレミアポイント:京急線駅内のポイント加盟店
- SEIBU Smile POINT:西武線
- TOKYU POINT(のるレージ):東急線
- TOBU POINT:東武線、駅内のポイント加盟店
- ToKoPo:都営地下鉄4線、都電荒川線、日暮里・舎人ライナー、都営バス
- メトポ(メトロポイントクラブ):東京メトロ各線
ポイントの付与ルールや使い方等はそれぞれ異なるので、
ご利用の際はしっかりと確認してくださいね。
一部を除き、これらのサービスで貯まるポイントでは、そのままPASMOにチャージして使うことも可能です。中にはモバイルPASMOアプリからチャージ出来るポイントもある様子なので、状況に応じて活用してくださいね。
モバイルPASMOの機種変更について
現在利用しているスマホで機種変更を行う際、モバイルPASMOについても機種変更の手続きが必要となります。具体的には旧端末を操作してモバイルPASMOの情報をサーバーへ保存し、その後に新端末でその受取り及び再設定を行うといった流れです。
モバイルPASMOの機種変更を行う場合、事前にPASMOアプリで会員登録を済ませておく必要があります。また、旧端末と新端末でOSが変化しない場合、基本的には両端末で同じApple ID及びGoogleアカウントでログインしている必要があるので覚えておきましょう。
もし新端末がリユース品等であった場合、
PASMOの登録の有無を事前に確認するようにしましょう。
iPhone同士の場合は最初に旧端末でウォレットアプリを起動し、移行するPASMOを選択してメニューの「カードの詳細」から削除を行えばデータが保存されます。その後は新端末でウォレットアプリを起動して、+ボタンの「以前ご利用のカード」から移行するPASMOを追加すれば完了です。
Androidの旧端末でPASMOの情報をサーバーへ移行させるには、おサイフケータイアプリを起動して交通系ICカードの「メインカードを切り替える」をタップします。その後の画面でモバイルPASMOを選択した後、「カードを預ける(機種変更)」を選択して操作を終えればデータが保存されます。
Android端末同士でモバイルPASMOを移行する場合、新端末側でおサイフケータイアプリを起動します。マイサービスの画面でモバイルPASMOを選択し、その後の画面で「受け取る」をタップすれば完了です。
Android端末からiPhoneへ移行する場合、ダウンロードしたPASMOアプリの初期画面で「機種変更・利用していたPASMOが見つからない方」を選択します。そこから「Androidで利用していた方」へ進んだ後、モバイルPASMOの登録情報でログインを行って案内の通り操作すれば完了です。
iPhoneからAndroid端末への機種変更について、
モバイルPASMOでは現時点で未対応となっています。
セキュリティ
PASMOはICチップを利用した決済手段であり、それ自体が高いセキュリティを持っています。カードや端末の紛失・盗難が発生しない限りは、不正利用の心配はまずありません。
もしPASMOが紛失・盗難に遭った場合は、残高を引継いだ上で再発行が可能です。紛失再発行には手数料520円と再度デポジットが発生する(計1,020円)他、記名PASMOでのみ行えるので覚えておきましょう。
ICチップの破損によって再発行を行う場合は、
追加の費用は一切発生しないので安心しましょう。
モバイルPASMOの利用端末が紛失してしまった場合は、PASMOの利用停止申請が可能です。方法としては再発行申請によって残高をサーバー上に退避させること、モバイルPASMOの払戻しを行うことの2種類が用意されていますね。
PASMOの使い方
PASMOを利用する場合は、チャージ方法の工夫を考えましょう。PASMOカードではオートチャージの対応カードを、モバイルPASMOでは可能な限り高還元なカードを利用するとお得ですね。
PASMOカードでオートチャージ用のクレジットカードを探している場合、その候補としてはやはり東京メトロの「To Me CARD」で発行されているものが挙がりそうですね。こちらにはPASMO一体型のカードも発行されており、運賃の支払いで使った際には追加のポイントが貰えるサービスもあるようですね。
To Me CARDの還元対象は東京メトロの「メトポ」なので、
そちらをよくご利用の方であればより活用出来そうですね。
それ以外のカードでモバイル版のPASMOにチャージする場合は、PASMOがポイント還元対象となるか否かを予め確認しましょう。もし使いたいカードでポイントが還元されない場合は、3Dセキュア対応のブランドプリペイドカードを経由することも1つの手です。
モバイル版のPASMOではANA Payプリペイドカード等がお得で便利ですが、どのようなチャージ金額でも最大限に還元サービスを活用したい場合は一度TOYOTA Walletを経由してみましょう。ANA Payプリペイドカードの還元サービスは200円単位で判定されるので、それをTOYOTA Wallet側で満たしてしまえばより柔軟にチャージ出来ますよ。
PASMOの注意点
PASMOはどちらかと言うとモバイルPASMOの方が便利ですが、Android端末で登録する場合には少々注意が必要です。現在流通している多くのAndroid端末では、交通系IC型電子マネーは1端末につき1サービスしか利用出来ません。
元からモバイルSuicaを利用している方の場合、新たにモバイルPASMOを登録することが出来ない可能性もあるので覚えておきましょう。SuicaとPASMOを同時に利用可能な端末については、こちらでリストが公開されているのでチェックしてくださいね。
機種によってはモバイルPASMOそのものに対応していないので、
公表されている利用可能端末の情報は必ずチェックしましょう。
これからのPASMOに期待すること
PASMOは交通系ICカードとしては比較的シンプルなサービスであり、同様のサービスを初めて利用する方にも使いやすいはずです。しかし、シンプル故にお得に使うことが少々難しいサービスでもあり、使い所には困ることも多いかもしれません。
かつてのPASMOは様々な交通事業者がバス得に参加していましたが、2020年の年末頃から相次いで廃止が発表されました。まだバス得の提供事業者は存在するものの、現状ではほぼ都心部でしか利用出来ません。
PASMOは関東各地のバス事業者にも導入されている決済方法でしたが、現在のそれら地域では定期券以外の用途で使う意味が薄いサービスとなっています。この状況から脱却するために、広い地域で使えるお得なサービスを導入して欲しいですよね。
まとめ
PASMOは決済手段として取っつきやすいサービスであり、関東圏の方には使いやすいですね。特に東京都内ではポイントサービス等が充実しており、電車やバスをお得に利用したい方には重宝するはずです。
PASMOはそのサービスやデザインのシンプルさから、一部には愛好家も存在するサービスです。これからのPASMOには、様々な場所で使いやすいサービスになることを期待しましょう。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
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