ドコモ口座は2021年10月25日にd払いと統合され、それに合わせてドコモ口座におけるいくつかのサービスが終了しました。ドコモ口座VISAプリペイドもその内の1つであり、現在では利用することができません。
ですが、今回の記事はかつて存在したドコモ口座VISAプリペイドのサービスを記録する目的で残します。新しいアイデアを生み出すヒントとして、或いは1つの読み物としてお読みください。
目次
サービス概要
ドコモ口座VISAプリペイドとは、かつてNTTドコモが発行していたブランドプリペイドカードサービスのことです。ドコモ口座残高を引落しに利用して、VISAによる決済を行うバーチャルカードとして提供されていましたね。
公式では単に「VISAプリペイド」と呼称されていましたが、
分かりやすさのためにドコモ口座VISAプリペイドと呼ばせていただきます。
カードの発行には18歳以上の年齢制限があり、且つドコモ口座への登録とドコモ回線契約のある方が発行可能でした。所謂ドコモダケのサービスであることも相まって、カードを利用出来る方は少々限られますね。
ドコモ口座そのものについてはこちらで扱っているので、よろしければ併せてお読みください。
まずは、ドコモ口座VISAプリペイドの基本的なサービスを見ていきましょう。
定額プラン | ワンタイムプラン | 摘要 | |
---|---|---|---|
発行会社 | NTTドコモ | ||
国際ブランド | VISA | ||
電子マネー | - | ||
月会費 | 200円+税 | 無料 | 携帯料金との合算 |
レギュラーカード 発行手数料 | 無料 | - | |
ワンタイムカード 発行手数料 | 無料 | 無料 | 月1回目 |
100円+税 | 月2回目以降 | ||
残高から引落し | |||
為替手数料 | 3.6% | ||
還元率 | 1,000円につき10円 | - | 月間の合計利用額が対象 |
還元方法 | キャッシュバック | - | |
決済上限 | 月間100万円まで | ||
3Dセキュア | パスワード認証 | ||
利用制限 | 決済一時停止/再開設定 | ||
補償 | 不正利用補償 | 発生から90日以内の被害 且つ知ってから30日以内の申請で補償 | |
優待 | - |
カードの発行や設定については、 ドコモ口座のウェブサービスや公式アプリを利用しました。番号のみが発行されるバーチャルカードとしての強みを活かした、比較的自由度の高い設定が可能でしたね。
3Dセキュア設定は勿論のこと、カードデザイン設定や決済時の名前設定にまで対応しています。利用者名を変更可能なサービスは、ブランドプリペイドカード全体を探しても非常に珍しいですよね。
バーチャルカードとしての利点を最大限に活かす機能であり、
数多くのサービスの中でも強く光っていましたね。
決済に利用する残高としてドコモ口座を利用するため、チャージ方法はそちらに依存します。主なチャージ方法はコンビニ店頭・セブン銀行ATM・銀行即時振替であり、ブランドカードは使えませんね。
ワンタイムカード
ドコモ口座VISAプリペイドとして発行可能なワンタイムカードは、発行から10日間で自動消滅します。カード番号そのものを消してしまうため、利用後に不正利用される心配は一切ありません。
これによって、不正利用の不安を強引に回避可能なことが大きな魅力でした。安全性が心配なVISA加盟店での支払いを必要とする場面では、このワンタイムカードは非常に重宝しましたね。
期限切れ直前でも使うことは可能でしたが、
注文から直ぐに決済が行われない加盟店では注意が必要でした。
2つのプラン
ドコモ口座VISAプリペイドには、定額パックプランとワンタイムプランの2種類が用意されていました。
ワンタイムプランではワンタイムカードにのみ対応しており、同月内で1回までの無料発行が可能です。月に10日間だけとは言え、キャッシュレス決済の初心者や安全性を重視する方にとってはこれでも重宝しますよね。
月末にカードを発行した場合でも、
月をまたいで使用可能でした。
定額パックプランでは月額料金がかかるものの、有効期間3年のレギュラーカード発行と1%のキャッシュバックが提供されていました。更にワンタイムカードを何度発行しても無料となるうえ、ワンタイムカードもキャッシュバック対象となるので安全とお得の両立が可能です。
携帯料金との合算
ドコモ口座VISAプリペイドは、ドコモ回線料金との合算で利用料金を支払うことも可能でした。ここでの合算とはドコモ払いのことではなく、チャージを行わずに利用料金を後日請求する方式です。
ブランドプリペイドカードとしては唯一と言っても良い、
完全な後払いが可能なカードとして強い個性を放っていましたね。
後払いを使えるユーザーは20歳以上に限定されており、決済の月間上限金額は最大5万円でした。ただし、具体的な上限はユーザー毎の利用状況に応じて個別に決められていましたね。
また、携帯料金の支払い方法をdカード以外のブランドカードに設定していた場合は後払いが使えません。dカードはドコモ回線料金の支払いがポイント対象外なので、便利ではあってもお得とは言えませんでしたね。
お得さとしてのメリットがあまり無い方式であったため、
魅力的ではあるものの色々と惜しいサービスでしたね。
セキュリティ
ドコモ口座では、専門スタッフが24時間体制で不正利用を監視しています。不正な決済が見つかったときは、まずはここで未然に防がれるので安心ですね。
ドコモ口座VISAプリペイドはそのものが安全性の高いカードですが、それに加えて決済一時停止/再開設定等も可能でした。 カードを使っていない時に設定しておけば、不正利用を未然に防ぐことに繋がります。
また、定額パックプランで発行可能なレギュラーカードについては、カード番号を変更することも可能です。不正利用が不安であれば、定期的に番号を変更しても良いでしょうね。
もし不正利用が発生してしまった場合でも、ドコモ口座本体の口座利用規約第20条から不正利用補償を受けることが可能でした。条件等に厳しい制限は無く、補償内容はクレジットカードと遜色ありません。
ブランドプリペイドカードとは思えない、
非常に高レベルのセキュリティですね。
ドコモ口座VISAプリペイドの使い方
ドコモ口座VISAプリペイドはドコモ口座の残高を利用するサービスなので、チャージ方法による+αはありません。こちらを決済に利用する際は、純粋なカードのシステムを活用することが重要ですね。
安全性を重視する決済
ドコモ口座VISAプリペイドは、その安全性によってネットショッピングでの決済に大活躍しました。ドコモの利用者にとっては発行しやすいカードでもあったので、キャッシュレス決済の導入としても重宝しましたね。
カード情報の名前を自由に設定することが可能なので、セキュリティだけでなく個人情報流出にも一定の強度がありそうですね。極端な話、本名ではないニックネームを登録しても使えますよ。
ただし、ワンタイムプランでは月に1回までしか無料発行が出来ません。お買い物に利用する場合は、決済の直前に発行する等の工夫が必要でしたね。
実店舗の決済
もし実店舗で決済をする場合は、3Dセキュアが使えるのでコード決済が視野に入ります。d払いに関してはドコモ口座残高からそのまま使えますが、カード経由であれば楽天ペイやPayPayでも使えるサービスでしたね。
この用途に関しては、ワンタイムカードの期限が10日であることが少々厄介でしたね。登録してた後で直ぐに期限切れするため、毎月の設定が必要となっていました。
あまり実用的な決済方法ではありませんでしたが、
このような方法もあったということで紹介します。
ドコモ口座VISAプリペイドの注意点
ブランドプリペイドカードについては、定期契約等を始めとして一部の決済に利用出来ないことは一般的ですよね。場合によっては提供会社が決済不可能な加盟店を指定することもあるのですが、ドコモ口座VISAプリペイドは利用不可加盟店が多めに指定されていました。
通常のオンラインショップでも利用不可に指定されていることが多く、特にAmazonで使えないことは大きなデメリットです。そのため、カードを利用する際は利用不可加盟店を事前に確認する必要がありましたね。
ドコモはAmazonの決済についてd払いに注力しており、
利用不可の理由はそれではないかと噂されていますね。
また、ドコモ口座VISAプリペイドについては、IC型電子マネーのチャージにはほぼ利用出来ません。モバイルSuicaにも使えないので、実店舗での利用方法が非常に限られていましたね。
サービス終了について
ドコモ口座は2021年10月25日からd払いと統合され、それに合わせてドコモ口座VISAプリペイドはサービスを終了しました。
ドコモ口座VISAプリペイドはチャージでポイントを得ることは出来ませんが、それ以外の基本的なサービスは非常に魅力的でした。特にカードデザイン・カード名義・レギュラーカード番号それぞれの変更を柔軟に行える機能は、ブランドプリペイドカードとして非常に先進的ですよね。
ですがドコモ口座VISAプリペイドは非接触決済が使えず、現在の状況に追いついていませんでした。更にドコモ口座がd払いのウォレットとして機能するようにもなり、決済サービスとしてあまり使われなくなったことが終了の原因かもしれませんね。
個人的に応援していたサービスであっただけに、終了は非常に残念です。
無理が無ければ、サービスを見直した上でいつか復活して欲しいですね。
もしドコモ口座VISAプリペイドが復活するとしたら、ぜひVISAのタッチ決済への対応をお願いしたいですね。また、レギュラーカードの無料化及びデフォルトサービス化があれば便利に使えそうです。
1%キャッシュバックと月会費200円+税では負担が釣り合わないので、ここが改善されればユーザーも増えるはずです。レギュラーカードのサービス自体は非常に魅力があるので、場合によってはドコモ回線契約への大きな誘引力となり得るのではないでしょうか。
まとめ
ドコモ口座VISAプリペイドは、安全性に特化したブランドプリペイドカードです。キャッシュレス初心者にも、更には普段からカード決済を利用する方にも使いやすいサービスでしたね。
カード設定を柔軟に変更することも可能であり、バーチャルカードとしての将来性を感じさせる先進的なサービスは非常に魅力がありました。もしサービスが復活するとしたら、更に時代の先を行くサービスを提供して欲しいですよね。
実は、ドコモ口座VISAプリペイドは筆者が初めて使ったブランドカードでした。密かに思い入れのあるサービスでもあったので、いつかパワーアップして戻って来ることを願っています。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
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