ブランドプリペイドカードを利用する目的としては、還元サービスを利用したポイント二重取りが挙げられます。お得なお買い物をするには欠かせない、キャッシュレス決済における重要なテクニックの1つですね。
ポイント二重取りで活用されているブランドプリペイドカードとして、有名処としてはKyashカードというサービスが提供されていますね。現在では還元率も控えめになりましたが、それでも使い方次第ではお得に使うことも可能ですよ。
今回は、Kyashカードについて考察していきましょう。
Kyashの概要
Kyashカードとは、株式会社Kyashが提供するブランドプリペイドカードサービスのことです。Kyashはスマホアプリとして提供されているウォレットサービスであり、カードではアプリ残高からの引落しによってVISA決済を行います。
登録時の年齢制限は特にありませんが、未成年者の場合は親権者の同意が必要です。また、一部の機能制限を解除するには本人確認が必要なので覚えておきましょう。
Kyashのウォレットサービスについてはこちらで扱っているので、よろしければ併せてお読みください。

尚、Kyash Card Liteについては今回省略しています。
こちらは発行するメリットがありませんからね。
まずは、Kyashカードの基本的なサービス概要を見ていきましょう。
Kyash Card | Kyash Card virtual | 摘要 | |
---|---|---|---|
発行会社 | Kyash | ||
国際ブランド | VISA | ||
ICカード | 付帯 | - | |
電子マネー | NFC Pay | - | VISAのタッチ決済 |
QUIC Pay+ | Apple Pay | ||
Google Pay | |||
発行手数料 | 900円 | 無料 | |
年会費 | 無料 | ||
為替手数料 | 3% | 海外加盟店での 日本円決済も対象 | |
残高区分 | Kyashマネー | 現金や銀行口座、報酬による入金分 | |
Kyashバリュー | カードやポイント等による入金分 | ||
Kyashマネー 還元率 | 1決済100円につき 1ポイント | 1決済200円につき 1ポイント | 月12万円の決済まで |
Kyashバリュー 還元率 | 1決済500円につき1ポイント | 月5万円の決済まで | |
還元方法 | Kyashポイント | 売上情報到達時に付与 | |
3Dセキュア | アプリ通知認証 | 都度に方法を選択する | |
SMS認証 | |||
メール認証 | |||
利用限度額 | 日間30万円 | 日間10万円 | |
月間100万円 | 月間15万円 | ||
利用制限設定 | 決済一時停止/再開設定 | ネットや海外実店舗 毎の個別設定可能 | |
決済上限設定 | 日間1,000円単位 | ||
月間1万円単位 | |||
補償 | 不正利用補償 | 発生から90日以内且つ 知ってから30日以内の申請 | |
1年間で1回のみ | |||
優待 | - |
カードの機能としてはICチップが付帯されたリアルカード「Kyash Card」が優れていますが、発行手数料は少々高めです。もし他社決済サービスへのチャージ用カードとしてのみ使うのであれば、バーチャルカードの「Kyash Card Virtual」でも十分と言えます。

Kyashカードではサービス提供条件が時々変更されるので、
アプリのお知らせや通知情報をよく確認してくださいね。
ちなみに、Kyash Cardをお得に発行したい場合は、ご家族やご友人の招待コードを利用することで発行手数料分のポイントがもらえます。また、Milesというアプリのクーポンコードを利用して、登録時に500円分の残高をもらうのも有効です。
本人確認

Kyashアプリを登録したばかりの状態では、一部の機能に制限がかけられています。サービスの制限を解除して全機能を利用するには、アプリで本人確認を行いましょう。
Kyashアプリではスマホを用いた本人確認(e-KYC)を行い、本人確認書類と顔写真の撮影を行います。本人確認書類として利用可能なものは、運転免許証・パスポート・在留カード・運転経歴証明書・マイナンバーカードの5種類です。

健康保険証や学生証等は利用出来ないので、
高校生までの方はマイナンバーカードを使うことになりそうですね。
本人確認の有無は決済上限や残高の分類に関わる他、「Kyash Card」を発行する際には必ず求められます。サービスに大きな影響を与える要素なので、可能であれば本人確認を済ませておきましょう。
残高の区分

Kyashはチャージ手段によって残高が分かれており、「Kyashマネー」と「Kyashバリュー」が存在します。サービス内容も大きく異なり、特に還元率の差は大きいので注意が必要です。
それぞれの残高がウォレット内に併存している場合は、Kyashバリューから先に消費されます。また、ポイント還元率は利用した残高区分毎に個別計算されているので、これらの性質はしっかりと覚えておきましょうね。
Kyashマネー
Kyashマネーとは、本人確認済みのアカウントで利用可能な残高のことです。アカウントがKyashマネーの状態でチャージされた金額の内、現金・銀行口座・報酬受取によってチャージされた分のことを指します。
Kyashマネーは送金や出金等Kyashのサービスを全て利用可能な他、「Kyash Card」の支払いに利用した場合は1%のポイント還元率が適用されます。ただし、LiteやVirtualの支払いに利用した場合、還元率は0.5%に低下するので覚えておきましょう。

Kyashマネーをメインに利用する場合は、
「Kyash Card」の発行をおススメします。
具体的なチャージ方法としては、コンビニ店頭・セブン銀行/ローソン銀行ATM・銀行口座即時入金サービス・銀行口座振込・Pay-easy・一部を除いた企業からの送金が挙げられます。即時入金サービスを利用する場合は、こちらで対応銀行について予め確認してくださいね。
銀行口座振込ではユーザー毎に作成される入金専用口座を利用しますが、こちらはGMOあおぞらネット銀行の法人向けサービス「振込入金口座」が用いられています。そのため、同行口座からの振込であれば振込手数料が発生しないので、もし口座振込による入金が必要な場合は活用しましょう。
Kyashバリュー
Kyashバリューとは、Kyashマネーの条件に当てはまらない残高のことです。ブランドカード・Kyashポイント・ギフトによってチャージした残高の他、本人確認未済アカウントでチャージした残高は全てこちらに分類されます。

本人確認未済アカウント宛にKyashマネーを送金した場合、
その残高はKyashバリューに変化するようです。
Kyashバリュー残高は支払いや送金であれば可能ですが、出金サービスに使うことは出来ません。また、こちらを使って決済を行った場合、その還元率は0.2%(1決済500円につき1ポイント)まで減少するので覚えておきましょう。
ブランドカードでチャージする場合は、3Dセキュア対応のVISA・Mastercard・JCB・American Expressブランドが対応しています。これだけ多くのブランドでチャージが出来るブランドプリペイドカードは珍しく、決済サービスとしての利便性がかなり高いですね。
また、ブランドカードからのチャージは100円以上から1円単位で行えます。Kyashカードはチャージに関する自由度が非常に高いため、様々な用途で重宝する決済サービスとなるはずです。
オートチャージ

Kyashに銀行口座又はブランドカードを登録している場合、オートチャージを設定しておくことも可能です。都度のチャージがどうしても面倒に感じてしまう方は、こちらのサービスを活用しましょう。
オートチャージの設定としては残高を条件として指定可能な他にも、日付を指定して毎月特定の日にチャージする設定も可能です。Kyashカードによる定期的な支払いがある方は、こちらのサービスを活用しましょう。

日時指定のオートチャージは1万円単位でしか設定出来ないので、
もし利用する場合は残高が増え過ぎないように注意してくださいね。
Kyashポイント

Kyashポイントとは、Kyashカードの還元方法として利用されている独自ポイントサービスのことです。Kyashカードを用いた決済金額に応じて還元され、1ポイント=1円の価値として使えます。
Kyashポイントは1ポイント単位で利用可能であり、Kyashバリューとして残高にチャージすることが出来ます。有効期限は最後にポイントを得たときから180日となっており、意外と短めなので期限が切れる前に使ってしまいましょう。

Kyashポイントは決済から5日前後で付与されるので、
還元までの待ち時間がかなり短いことがメリットですね。
共有口座

共有口座とは、複数人でシェア可能なウォレットのことです。Kyashでは個人口座(登録時に作られるウォレット)とは別に共有口座を作成し、参加者はここにKyashマネーを移行することが可能です。
カードの引落し先を共有口座に変更することで、共有口座の残高を使ってそのまま支払いも行えます。サークル活動での資金集めや、グループ内での割り勘等で活用出来そうですね。

Kyashの共有口座機能は1人で使うことも可能であり、
Kyashマネーを分離して管理したい場合に便利ですよ。
Kyashマネー残高を共有口座に入金しておけば、Kyashバリューのみで決済を行いたい場合に重宝します。サービス本来の使い方とは違うのですが、道具は使い方次第ということで広く活用して行きたいですね。
Kyashリワード

Kyashリワードとは、Kyashアプリで提供されているポイントモールサービスのことです。所謂ポイントサイトのことであり、アプリを経由してネットショッピングをすると追加のポイント還元を受けることが可能ですよ。
ポイントサイトの説明や基本的な使い方についてはこちらで扱っているので、よろしければ併せてお読みください。
対象となるのはKyashカードを用いたお買い物であり、こちらはカードの種類を問わずに利用可能です。還元対象となるのはKyashポイントですが、こちらは通常の還元サービスとは別に付与されます。
他のポイントサイトと比較しても遜色無いサービスなので、お買い物の際はこちらも視野に入れましょう。中には非常に高還元率の広告も掲示されているので、積極的に活用してくださいね。

掲載広告は順次追加される予定ということなので、
使わなくても時々チェックしておきましょう。
尚、2023年10月下旬からは年末までの期間限定サービス「Kyashコイン」が開始されていますが、これに伴ってアプリの「お買い物」タブが表示されなくなっています。現状では公式からのお知らせ等が確認出来ないため、Kyashリワードの今後については不明です。
セキュリティ

Kyashカードではアプリ上から決済一時停止/再開設定が可能な他、決済上限設定も可能です。決済一時停止は機能全体のロックが可能な他、オンライン決済と海外実店舗決済を個別に停止することも可能ですよ。

日本国内だけでしか使うつもりの無い方であれば、
海外実店舗決済は常にロックしても大丈夫ですね。
もし不正利用に遭った場合、その被害はKyashマネーアカウント利用規約第31条及びKyashバリューアカウント利用規約第27条によって補償されます。必要な場合は管轄の警察組織に被害届を提出した上で、発生から90日以内且つ知ってから30日以内に所定の申請を行いましょう。
不正利用補償の手続きが一段落した後は、Kyashカードの再発行手続きを行いましょう。ただし、リアルカードの再発行を行う場合は、通常と同じ発行手数料が必要なので用意してくださいね。
Kyashカードの使い方
Kyashカードを使う場合は、まずはKyashリワードの活用を考えてみましょう。Kyashリワードが活用出来ない場合や実店舗決済を行いたい場合は、複数の決済サービスを中継して還元率を高めることが重要です。
おススメのチャージ用カード

Kyashカードを利用する場合は、還元率の低さを考慮してもブランドカードからチャージした方がお得です。還元率1%以上のカードを利用すれば、Kyashマネーの還元率を簡単に上回りますからね。
チャージ用カードを選択する場合は、とにかく還元率の高いカードを選択しましょう。Kyashに対応しているVISAやMastercardブランドの中であれば、1.5%還元を目安に探してみてくださいね。
年会費の無料化が可能なおススメのカードとしては、三井住友カードゴールド(NL)やエポスゴールドカード等が挙げられます。どちらも通常の還元率が0.5%ですが、それに加えて年間100万円の決済で1万ポイントのボーナスが付与されますね。

チャージ用のカードとしてはデビットカードも使えるので、
学生の方には楽天銀行デビットカードがおススメですよ。
また、Kyashカードはチャージ可能な国際ブランドが豊富なことも特徴です。これを活かして、お持ちのJCBカードやアメックスカードをVISAへと変換するツールとしても重宝しそうですね。
ただし、Kyashへのチャージをポイント還元の対象外に指定しているカードは意外と多いので注意が必要です。前払い式の決済サービス全般を対象外としているカードは勿論として、楽天カードやVISA LINE Payクレジットカード等では個別に還元対象外となっています。
定期契約

Kyashカードは定期契約にも対応しており、一部の加盟店を除いて支払い方法として設定可能となっています。後述のRevolutカードが使えない加盟店で定期契約を行いたい場合は、Kyashカードを直接利用しましょう。
定期契約に対応しているとは言っても、残高が不足していれば支払いは行えません。支払い日の前に十分な金額をチャージしておくか、オートチャージを設定しておきましょう。

定期契約に利用すると決済一時停止設定が事実上使えないので、
決済上限をギリギリに設定して防犯することをおススメします。
他のブランドプリペイドカードにはあまり見られない便利な機能ですが、ブランドプリペイドカードそのものを拒否している加盟店では決済が行えません。そのような加盟店であった場合は、残念ですが他の支払い方法を使って契約しましょう。
他のブランドプリペイドカードにチャージ

Kyashカードはブランドプリペイドカードでありながら、何故か他社のブランドプリペイドカードにチャージ出来るという特徴を持っています。他社のカードでも一部でそのような使い方が出来ますが、こちらは利用制限がかけられることがほぼありません。
この使い方をした場合でもKyashポイントは問題無く付与されるので、ポイントの多重取りに使えますね。例えばクレジットカード⇒Kyash Card⇒他社ブランドプリペイドカード⇒コード決済、といったように利用すると非常にお得です。

TOYOTA WalletやANA Pay、IDAREカード等にチャージすることも可能なので、
還元率を最大限に上昇させたい場合は活用しましょう。
Kyashカードの注意点
Kyashには機能的な不備や規約上の使いにくさが多く、それに関する注意が必要です。また、キャッシングサービスも提供しているのでチャージ操作には気を付けてくださいね。
不正利用補償が弱い

Kyashカードでは不正利用補償が制度化されていますが、その補償規定は少々制限が強いので注意が必要です。例えば、過去1年間で不正利用補償を受けていた場合は補償対象外になってしまいます。
また、カードの紛失・盗難を原因として不正利用が発生した場合、その被害は補償されません。規約上ではカードの決済一時停止を行った後の被害であれば対象となるのですが、実質的に無意味な文言と言えますね。

スキミングやネット経由等での情報流出があった場合、
その被害は補償の対象となるようです。
Kyashカードは補償制度があるからと言って安心は出来ないので、ご利用の際にはご自身で出来る対策を意識してくださいね。カードには決済一時停止や決済上限設定等もあるので、これらのセキュリティ設定を活用しましょう。
これらの対策と合わせて、Kyashカードは安全な加盟店のみで使った方が良いでしょうね。また、Kyashカードが紛失・盗難に遭わないように、しっかりと管理することを忘れないようにしましょう。

他にはチャージを最小限に留めることも有効な被害防止の手段ですが、
残高のオートチャージを設定している場合には注意しましょう。
海外加盟店では日本円決済でも手数料が発生する

Kyashカードを海外加盟店で利用すると3%の為替手数料が発生しますが、この手数料は例え日本円による決済であったとしても発生します。どこが海外加盟店として判定されるのかは不明であり、ユーザーからは実際に利用しなければ分かりません。

PayPalやSteam等での発生が確認されているので、
これらのサービスでは使わないでくださいね。
ちなみに、Revolutへのチャージでは国内加盟店として判定される様子ですが、現在のRevolutではデビットカード以外でカードチャージ手数料が導入されています。こちらで利用しても大抵の場合で損をしてしまうことになるので、他のチャージ方法を選択した方が良いでしょうね。
使ってはいけない「イマすぐ入金」

イマすぐ入金とは、KyashがAGミライバライ株式会社の提供で行うキャッシングサービスのことです。利用すると借入金額が残高に入金され、後に所定の手数料と合わせて返金します。
通常のキャッシングサービスは年利によって利息を算定しますが、イマすぐ入金では手数料として一括で請求されます。他のキャッシングサービスと比較しても負担が段違いに大きいため、こちらは全くおススメ出来ません。
例えば3,000円を借りて1週間後に手数料500円と合わせて返金した場合、その実質的な年利は約870%に上ります。数日で返金をすれば更に実質金利が上がるので、これを使ってはいけませんね。

イマすぐ入金はチャージと謳っていますが実態は借金であり、
返せなければ違約金が発生し、取り立てや裁判も有り得ますよ。
また、入金される金額はKyashバリューなので、用途が狭い上に決済時の還元率も0.2%と低いですね。このサービスを使う位であれば、収入があるまでお買い物等の支出を控えましょう。
これからのKyashカードに期待すること

イマすぐ入金はやめて欲しい
筆者は以前、ここで「Kyashカードの収益化構想をしっかりと練って欲しい」と記載していました。収益化の難しい事業構造から来る、相次ぐサービス縮小と新サービスの不振から来る思いです。
しかし、「イマすぐ入金」のようなチャージの名を隠れ蓑にしたキャッシングを始めるとは思いませんでした。確かにこれなら確実に収益は上がりますが、残念な結果だというのが正直なところです。
バンドルカードに続くような暴利貸付は、利息制限法の規制に抵触する可能性があるサービスです。このような手段での収益化は、早々に規制されて欲しいですね。
オーソリの処理
オーソリとは、加盟店がブランドカードの有効性を確認するために行う処理のことです。この際に1円から数百円程度の少額の支払いが行われますが、こちらは売上として確定されないのでクレジットカードであれば問題になりません。
ですが、Kyashカードのようなブランドプリペイドカードでオーソリが行われた場合、少額の支払いは即時に残高へと反映されます。その金額分は支払いが取り消されるまで最大60日間拘束されるので、ブランドプリペイドカードが使いにくくなる要因の1つとも言えますね。
そのためKyashカードは、1円等の少額決済があった際に決済確定まで引き落としを保留するようにシステム改修をして欲しいですね。これによってオーソリを気にすることが少なくなるため、Kyashカードは更に使いやすくなるのではないでしょうか。
まとめ
Kyashカードはポイントの多重取りを可能にする、お得には欠かせないサービスですね。引落し設定時のポイント還元率が0.2%になったとしても、工夫次第でまだまだお得に利用できることに違いはありません。
他の決済サービスと併用することは、Kyashカードにおける重要な要素となっています。お得に対する可能性の大きさこそが、Kyashカード最大の魅力と言えるかもしれませんね。
もしKyashカードに興味がある方は、ぜひアプリをダウンロードしてみてくださいね。

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