Kyashと言えばブランドプリペイドカードが有名なサービスですが、本体は送金機能を中心としたウォレットサービスです。現在では送金だけでなく、Kyashカードの補助を中心とした様々な機能が追加されていますね。
今回は、Kyash本体のウォレットサービスについて考察していきましょう。
目次
Kyashの概要
Kyashとは、株式会社Kyashが提供するウォレットサービスのことです。入金した残高を利用した送金が可能なサービスであり、iPhone又はAndroid端末のアプリから利用します。
Kyashへの登録は誰でも可能ですが、未成年者の場合は親権者の同意を必要とします。登録時にSMS認証が必要な他、全ての機能を利用するには本人確認も行いましょう。
本人確認は「eKYC」を利用するため、
スマホで本人確認書類と顔を撮影します。
尚、リアルカードの内Kyash Card Liteについては、Kyash Card Virtualとの差異があまり無いため今回は省略しています。また、記載内容の一部は本人確認が済んでいることを前提としているのでご了承ください。
まずは、Kyashの基本的なサービスを見ていきましょう。
Kyashカード | KyashカードVirtual | 摘要 | |
---|---|---|---|
提供会社 | Kyash | ||
年会費 | 無料 | ||
残高上限 | 100万円 | Kyashマネー | |
1,000万円 | Kyashバリュー | ||
チャージ方法 | 銀行口座振込 | 専用口座を作成 | |
銀行口座即時入金 | 5,000円以上 | ||
Pay-easy | 3,000円以上 | ||
コンビニ店頭 | |||
ATM | セブン銀行/ローソン銀行 | ||
紙幣のみ | |||
ブランドカード | 100円以上 | ||
報酬受取り | 入金単位はサービス毎に異なる | ||
チャージ手数料 | 無料 | ||
100円+税 | Pay-easy・コンビニ店頭 | ||
チャージ上限 | 24時間30万円 | 24時間10万円 | |
送金上限 | 24時間30万円 | 24時間10万円 | |
1か月100万円 | 1か月15万円 | ||
出金手数料 | 200円+税 | ||
出金上限 | 1日100万円 | 銀行口座振込 | |
1日30万円 | セブン銀行/ローソン銀行ATM | ||
補償 | 不正利用補償 | 発生から90日以内の被害について 知ってから30日以内の申請で補償 | |
1年間で1回のみ |
Kyashのアカウントは本人確認の状態によってサービス内容が異なるので、「アカウント」タブから状態を確認してみましょう。本人確認を済ませている場合はKyashマネーアカウント、本人確認が済んでいない場合はKyashバリューアカウントに分類されますよ。
バリューアカウントでは一定の制限があるので、
特に理由が無ければ本人確認を済ませておきましょう。
また、ブランドカードや銀行口座を登録している場合は、そちらからのオートチャージ設定も可能です。入金条件やタイミング等を予め設定しておけば、都度のチャージをしなくてもサービスが使えますよ。
残高の区分
Kyash残高は入金方法によってサービス提供条件が分かれており、それぞれ「Kyashマネー」と「Kyashバリュー」に分類されます。現在所有している残高の区分については、アプリの口座から金額表示をタップしていくと確認可能です。
KyashマネーはKyashの全機能が利用可能な残高であり、マネーアカウントで一部のチャージ方法を用いて入金された分がこちらに分類されます。主に現金や銀行口座等からチャージした分の他、提携企業から送金された残高がKyashマネーとなります。
マネー残高はカードの還元率も優遇され、
Kyash Cardであれば1%還元が適用されます。
対してKyashバリューとは、上記以外の条件で入金された残高を指します。ブランドカードやKyashポイントからチャージされた分がこちらに分類される他、バリューアカウントでチャージした分は全てこちらに分類されます。
Kyashのチャージに対応している国際ブランドは豊富で、VISA・Mastercard・JCB・American Expressが利用可能です。チャージ自体も100円以上1円単位で出来るため、サービスとしての利便性は非常に高いですね。
また、Kyashバリューアカウント宛にKyashマネーが送金された場合、受取った後の残高はKyashバリューに変化します。バリュー残高はカード決済と送金に使えますが、出金は不可能となっているので覚えておきましょう。
ブランドカード入金分の出金が出来ないようになっているのは、
「ショッピング枠の現金化」というタブーを防ぐためです。
入金専用口座
Kyashのチャージ方法としては口座振込も用意されており、ユーザー専用の振込用口座を利用した入金が可能です。チャージ申請は1円から限度額まで行えますが、振込手数料がかかることは覚えておきましょう。
入金専用口座を作成する場合は、チャージ方法から「その他の方法で入金」⇒銀行口座振込⇒「銀行口座を登録せず入金(振込)」、とタップしてください。作成された口座情報は、同じ手順でいつでも確認することが可能です。
この手順によってGMOあおぞらネット銀行から入金専用口座が作成され、この口座に振込を行えば平日午後3時半までであれば当日中にチャージされます。もしそれ以降にチャージを行った場合、チャージは翌営業日までかかるので注意しましょう。
お持ちのGMOあおぞらネット銀行口座で入金すれば、
振込手数料が無料となるので使いやすいかもしれません。
送金機能について
Kyashで送金サービスを利用するには送金対象の指定が必要ですが、予め他のユーザーをお友達に追加しておけば操作の簡略化が可能です。お友達に追加するには「送金・請求」タブのID検索か、もしくはFacebookアカウントから探してみましょう。
また、お友達はQRコードを用いて追加することも可能です。登録される側が「送金・請求」タブ又は「アカウント」タブから専用のQRコードを表示し、登録する側は同画面からQRコードを撮影することで完了します。
登録用QRコードは画像として保存することも出来るので、
ブログやSNSに掲載することでお友達募集が可能ですよ。
Kyashでは他のユーザーに対して送金を請求することも可能で、「みんなに請求」を利用すれば複数人に対する同時請求も行えます。また、Kyashでは送金金額を指定したURLを作成し、SNS等でリンクを記載するだけで送金や請求を行うことも可能です。
出金・振込
KyashではKyashマネー残高のみ出金に対応しており、方法としては銀行口座振込とコンビニATM(セブン銀行/ローソン銀行)の2つが用意されています。出金手数料として1回200円+税が発生しますが、こちらもKyashマネー残高が必要となるので用意しておきましょう。
出金したい場合は「ウォレット」タブの出金をタップして、出金方法を選択してから必要な操作を行いましょう。口座振込では口座情報と金額を指定すれば申請が完了しますが、コンビニATMによる出金ではスマホを使った認証を行います。
残高の出金申請はKyashを解約する際にも行いますが、
その際は余ったバリュー残高が失効するので注意しましょう。
口座振込の場合は、振込は平日午後3時30分までの申請であれば当日中に行われます。それ以外の時間に出金申請を行った場合は、翌営業日に出金されるので覚えておきましょう。
また、「送金・請求」タブから「銀行口座に振込」をタップすることで、マネー残高のみ自己名義以外の指定口座へ振込することも可能となっています。手数料等のルールはほぼ出金と同様ですが、口座情報は間違えないように入力しましょう。
共有口座
共有口座とは、他のユーザーと共有可能なウォレットを新たに追加可能なサービスのことです。アカウントを発行した時点で作成される個人口座はそのまま保持され、残高は個別に管理されます。
共有口座の作成および参加は本人確認済みのユーザーであれば可能で、手続きはアプリのウォレットから行えます。作成された共有口座画面では個人口座残高から入出金を行いますが、入出金に利用可能な残高はKyashマネーのみです。
入金条件は1日30万円まで、
且つ月間100万円までです。
共有口座を利用して支払いを行う場合は、対象の共有口座で「支払い口座に設定」を選択するだけで設定完了です。この機能を活用することで、サークル活動で資金を集める場合等に重宝しそうですね。
また、共有口座では入出金及び決済の履歴を参加者全員が確認可能となっています。誰が何に使ったのかがすぐに分かるので、資金の保全に役立つはずです。
共有口座は一人で使うことも可能であり、
残高を種別毎に分けたいときにも重宝しますよ。
カテゴリー機能と、家計簿アプリとの連動機能
Kyashでは、Kyashカードでの支払い金額が加盟店の種類毎に分類して記録されています。アプリの「カテゴリー」タブをチェックすることで、月間の内訳を表示することも可能です。この機能を利用すれば、家計簿を作成しやすくなりそうですね。
また、Kyashは家計簿アプリとの連動も行うことも出来ます。対応しているアプリはMoney Forward・Zaim・Moneytreeの3種類なので、利用しているものがあれば連動設定を行いましょう。
Kyashカードを決済サービスへのチャージにのみ利用している場合、
Kyashの家計簿はほぼ機能しないので用途に応じた使い方が必要ですね。
Kyashカード
Kyashでは専用のブランドプリペイドカードも発行可能であり、残高を用いてVISAブランドによる支払いが出来ます。Kyashカードは3種類から選択可能ですが、その発行状況は送金サービスの提供条件にも影響するので覚えておきましょう。
アプリに登録しただけでもバーチャルカードの「Kyash Card Virtual」が利用可能ですが、実店舗での決済が必要であればリアルカードの発行も可能です。リアルカードの発行にはどちらも手数料が発生しますが、折角であればICチップ付きの「Kyash Card」を発行したいですね。
「Kyash Card」を発行した場合、1日のチャージ上限や1回毎の送金上限が上昇します。Kyashマネーを決済に利用した際の還元率も変化するので、Kyashの機能を最大限に利用したい場合はこちらのリアルカードを発行してみましょう。
Kyashカードについてはこちらで扱っているので、よろしければ併せてお読みください。
セキュリティ
Kyashアプリでは暗証番号によるロックをかけることが可能であり、設定するとアプリを起動する際に認証が求められます。予めロック機能を設定しておけば端末を紛失した際にも不正利用を防げるので、より安心してサービスを使えますね。
暗証番号の代わりとして、
端末の指紋認証を使うことも可能です。
もし不正利用が発生した場合、その被害はKyashマネーアカウント利用規約第31条又はKyashバリューアカウント利用規約第27条によって補償されます。必要であれば管轄の警察組織に被害届を提出した上で、発生から90日以内且つ知ってから30日以内に所定の申請を行いましょう。
Kyashの使い方
Kyashをウォレットサービスとして利用する場合、サークル活動の資金集めや割り勘に使えそうですね。又は応援したいクリエイターの方がKyashを利用している場合は、投げ銭の手段としても使えるはずです。
それ以外の用途としては、ポイントサイトからの換金やクラウドソーシングの報酬等を受取るために使うと便利です。この振込処理は即時で行われることがほとんどなので、報酬をすぐに利用したい場合にはかなり重宝しますね。
また、Kyashで報酬を受取った場合には基本的に手数料負担がありません。銀行振込を利用すると手数料が発生することも多いので、報酬をそのままの金額で利用することが可能ですね。
Kyashの注意点
不正利用補償の制限
Kyashでは不正利用補償が制度化されており、もし被害が発生した場合でも残高の返金を受けることが可能です。これは送金や出金についても同じであり、アカウントや端末を不正に利用された場合も補償対象となっています。
ですが、Kyashの不正利用補償には一定の制限があり、過去1年以内に制度を利用した場合は補償対象外となってしまいます。そのため、不正利用補償があるからと言って安心することは出来ません。
Kyashを利用する場合は、不正利用そのものを防ぐことが何よりも大切です。ウォレットサービスが不正利用される可能性は低いですが、暗証番号の流出や端末の紛失・盗難には十分に注意してくださいね。
機種変更について
大抵の決済サービスのアプリでは、機種変更時に新端末側でアプリのログインをすれば、旧端末側のアプリでは自動的にログアウト処理がされますよね。ですが、Kyashではそのような処理が行われません。
それだけではなく、Kyash側からは複数の端末で利用していると判断されてしまいます。最悪の場合は規約違反としてアカウントが削除されることもあるので、これだけは注意してください。
Kyashを利用する端末を変更する場合は、
必ず旧端末でログアウトをしましょう。
使ってはいけない「イマすぐ入金」
イマすぐ入金とは、KyashがAGミライバライ株式会社の提供で行うキャッシングサービスのことです。借入金はKyashバリューとして入金され、翌月末を期限として所定の手数料と共に返済します。
通常のキャッシングサービスでは年利によって利子を算定しますが、イマすぐ入金では手数料として一括で請求されます。他のサービスと比較しても段違いに負担が大きいので、こちらは絶対に利用してはいけません。
例えば3,000円を借りて1週間後に手数料500円と合わせて返済した場合、その実質的な年利は約870%に上ります。利息制限法上の制限が10万円未満の借入で年利20%までであることを考えると、その利子が余りにも高すぎることがよく分かりますね。
借金なので返済期日を過ぎれば違約金が発生し、
場合によっては裁判や取り立ても有り得ますよ。
これだけ暴利でのキャッシングを行っておきながら、借入分はカード払いにしか使えません。ユーザーにとっては損にしかならないサービスなので、イマすぐ入金は絶対に使わないでくださいね。
これからのKyashに期待すること
元々は送金機能が注目されていたKyashですが、現在ではそちらが注目されることはあまりありません。一時期はブランドカード入金分からの送金が使えなくなっていたこともあり、ユーザーからは使いにくさが目立つサービスとして見られるようになりました。
2020年12月、Kyashは残高に1%の利息を付けるサービスを展開しようとしましたが、法律との兼ね合いから予定日前日になって撤回を発表しました。サービスの向上に向けて企業努力を重ねていることは良くわかるのですが、少々焦りが見えているようにも感じられますよね。
Kyashに関しては様々な方から要望があるとは思いますが、全体的にシンプルなサービスを目指せば評価は上がるのではないでしょうか。サービスの初期はそれによって好評であった部分が大きいので、ユーザーからの反応を大事にして欲しいですね。
現在ではカードからの送金機能が復活する等、
嬉しいサービス変更も多いので期待が持てますね。
まとめ
Kyashの送金サービスは、送金請求や共有口座などによって資金集めが行いやすくなっていますね。ただし送金サービスそのものとしては平均的であり、ウォレットサービスとしてはKyashカードの補助的な機能がよく使われています。
多様なサービス展開も魅力にはなるのですが、基本となるサービスの強化にも期待したいですね。現在はブランドカードによる送金サービスも復活したので、これから使いやすいサービスとして変化していくかもしれませんね。
Kyashは様々な変化を続けているサービスですが、愛着を持って利用されている方もたくさんいるはずです。Kyashにはぜひ、そういった方々の期待に応えていただきたいですね。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
よろしければ他の記事もご覧ください。
コメント