銀行口座に預金があれば、定期的に預金利息が振り込まれますよね。少しでももらえると嬉しいものですが、こちらは利子所得として課税の対象になっています。
預金利息に対する課税は少し厄介ですが、工夫によって納税を逃れることが可能です。ですが課税を回避することについて、法律上の問題が気になりますよね。
今回は、預金利息の課税と回避の是非について考察していきましょう。
はじめに
利子所得とは、その名の通り利子によって得た金銭的な収益のことです。利子にも色々あるのですが、ここでは主に預金利息についてお話しますね。
預金利息が発生した場合、納税は源泉徴収によって行われるので預金者が確定申告をする必要はありません。また、ここでの課税所得は他の所得とは合算されず、完全に別枠として扱われています。
このような徴税方式のことを、
「源泉分離課税」と呼びます。
源泉分離課税という性質により、実務上の課税は1口座毎や1商品毎に行われます。また、税金は基本的に切り捨て計算によって算出されますよね。
そこで、世の中の頭の良いせこい人は考えました。
課税の回避
預金利息に対して発生する税金は、所得税+復興特別所得税の15.315%と地方税(住民税)の5%となっています。これらは同時に徴税されるものの、計算自体は別個に行われていますね。
実際に計算すると分かるのですが、この税率では預金利息が6円までの場合には税金が徴収されません。同じように、預金利息が19円までであれば地方税の徴収はされないことになります。
20円以上の利息が発生し得る場合でも、
税率に合わせて預金額を決めれば課税の割合が低下しますよ。
これを利用して、定期預金の預金額を細かく調整した上で、何口も預けることによって預金利息への課税を抑えることが可能です。銀行によっては定期預金の口数に制限を設けていることも多いですが、他行を利用すれば良いだけなので余程上限の低い銀行でなければ困ることはありません。
法律上の問題
これは非常に重宝する反面、「脱税ではないのか」という疑念が生まれることは無理のないことです。定期預金を何口も申し込んだら税金無し、なんて普通に考えたらおかしいですからね。
ですが、法律上は預金利息を受け取った時点で納税が済んだ扱いになっています。申告漏れや所得隠しといったものが理論的に存在しないため、脱税とは言えません。
ただし預金利息については非課税制度が別途用意されていることを見るに、税法の制定者はこのような非課税所得が発生することを全く想定していないと考えられます。このような法律の抜け穴やバグがあることについて、問題があることは事実ですね。
税法が想定していないグレーな方法で課税を免れることについて、
法律用語では「租税回避行為」と呼びます。
租税回避行為を抑制するには抜け穴の無い法律を作るしか無く、これは日本国憲法第30条の趣旨(租税法律主義)からも明らかです。ですが、現時点で対策される様子は見られませんね。
また、預金利息の租税回避行為は方法が単純であるが故に、意図せず発生するケースが大量に存在することは簡単に予想されます。安易に徴税を強化すると多くの方が不利益を被ることになるので、対策の取りようがないことは確かですね。
例えば普通預金金利0.001%のメガバンクを利用している場合、
預金が139万円未満であれば自然に税金が発生しなくなります。
まとめ
今回の方法を利用せず、預金利息に発生し得る税金を納めるのであればその心掛けは立派なことです。ですが合法である以上、この方法を利用したとしても筆者は特に批判しません。
課税の回避を利用するか否かは、全て個人の判断に委ねます。ですが、もしこちらの方法を利用する場合は、法改正によって将来的に使えなくなる可能性も忘れないようにしてくださいね。
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